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数々の心理実験により
「受動意識仮説」のほうが
どうも正しそうだと
現在では受け入れられつつありますが、
その中でも
有名な実験でいうと、
カルフォルニア大学の
「ベンジャミン・リベットの実験」です。
脳と手に電極をつけて
指を曲げたいと思ったタイミングで
曲げてもらうのですが、
曲げる 0.2秒前に
頭の中では準備期に入っていて
曲げようと思ってから
0.2秒後に指が曲がったのです。
これはみんなが想定していて
何の不思議もないことだったのですが、
想定外は
なんと準備期よりも更に 0.35秒前には
準備電位というものが
もうすでに立ち上がっていた
という結果です。
順番でいうと、
指を曲げる準備電位が立ち上がって
↓
頭で「曲げよう」と思って
↓
実際に曲がり始めるのが 0.2秒後
ということは、
頭の中の議論では
既に指を曲げることが決まっていて
後で「意識」が
曲げようと思った
ということなのです。
ちょっと不思議な感じではありますが
実際にはこのように言われています。
他にも
ダートマス大学の
マイケル・ガザニカ教授が発表した
「分離脳患者の実験」があります。
右脳と左脳の間を繋ぐパイプ役が
損傷した患者さんがいて、
ガザニカは「分離脳患者」と
名付けました。
この患者さんは
頭の中に脳が2つあるような状態
その患者さんに対して
右耳から「まっすぐ歩いてください」
と話しかけて指示をします。
すると片方の脳で
処理された指令に対して
患者さんは
歩き出しましたが、
歩き出しと同時に
今度は反対側の耳から
「どうして歩き始めたの?」と
質問をしました。
反対側の脳では
「歩いてください」という指示は
受けていないので、
患者さんは
「あれ?何で歩いてるのかな」
という錯乱状態になるはずだと
予測していましたが、
その患者さんの答えは
「喉が渇いたからジュースを
買いに行こうと思って」
という
予想外の回答でした。
で、実際に
その患者さんの視界の先には
自動販売機があったそうです。
このように
私たちは周りの環境や情報を
全体で捉えた上で
意識が決まっているという
可能性があります。
つまり、
私たちの脳というのは
並列回路な処理結果を認知している
ということになります。
頭では「よし!今から仕事しよう」
と思ってパソコンに向かいますが、
頑張ろうとは思っていても、
視界の中に興味深いタイトルの
Yahooトップニュースが映ってしまったら
頭の中で
その議論が起こるのです。
「え!ガッキー結婚?だれと?」
みたいな
「でも仕事しなくちゃ、仕事仕事!」
と抑制は働きますが、
「星野源じゃん!今度また逃げ恥観よう」
みたいな
こういう議論が
頭の中の小人で起こってしまうのです。
だから
意識の力だけで頑張ろうと思っても
議論はやめられないので、
環境全体からデザインしていかないと
生活習慣は変わらないですよ
という話です。
この具体的なデザインの方法については
後の4章でお話しします。
次のお話は、Day.36「古い脳と新しい脳」です。